特集

【九十九里と、編む。】
「ポテンシャルは最強レベル」 九十九里発、登録者11万人超のユーチューバー・ナオトさんに聞く 地元で発信し続ける理由

心地よい秋空の下で  photo by Remi Fukuda

 九十九里町観光大使・かのんぷ♪と、九十九里町地域おこし協力隊が取り組む連載企画
 かのんぷ♪×九十九里町地域おこし協力隊 特別企画 vol.10

【九十九里と、編む。】

 この地に移り住む人、働く人、子を育てる人――暮らしの言葉を丁寧に紡ぎ、「九十九里」という地域の輪郭を描く対談シリーズ。
 第10回のゲストは、九十九里町出身・在住のユーチューバー、ナオトさん。キャンプ飯やアウトドア料理をテーマにした動画を発信し、チャンネル登録者数は11万人を超える。都会ではなく、生まれ育った九十九里から発信を続ける理由と、この土地だからこそ気づけた魅力について聞いた。

 ── 九十九里出身のユーチューバーが、地元で発信を続ける理由
 かのんぷ♪中村里衣(以下、里衣)「まず、お名前をお願いします」

 ナオト「ユーチューブでアウトドア系の動画を投稿しております、ナオトと申します。よろしくお願いします」

 かのんぷ♪里衣「登録者は今、何人ぐらいですか」

 ナオト「ユーチューブのチャンネル登録者は今、11万人ぐらいですね」

 かのんぷ♪里衣「九十九里で発信を続けている理由、ここでやる必然性はありますか」

 ナオト「正直、明確な理由があるわけではありません。もともとは音楽をやっていて、都会に出て音楽活動をしていました。ただ、夢破れてというか、『もうだめだな』と思って実家に帰ってきて、最初は実家で就職しました。生活が落ち着いたら、また一人暮らしをしようかなと思っていたが、あるきっかけでユーチューブに動画を投稿するようになって、撮影環境もちょうど整っていたので、そのままずっと地元にいながら活動を続けてきました」

拠点を地方に置くメリットとして、交通の便の良さを挙げた。

 ナオト「ユーチューブの活動をしていて思うのは、北は北海道から南は奄美大島まで、結構遠征することが多いんですが、九十九里は交通の面がすごく良いんです。高速に乗れば、都内までは早くて1時間半から2時間ほどで行けますし、どこへ行くにも高速がつながっています。北海道のような遠方へ行くときも、成田空港まで片道1時間ちょっとで、成田・羽田のどちらも選べる。そう考えると、めちゃくちゃ理にかなっているなと思って、わざわざ家賃を払って都内に住む必要性を感じなくなりました」

ナオトさん  photo by Remi Fukuda

 ── 「珍しい人種」だからこそ生まれる注目
九十九里在住のユーチューバーという立場について尋ねた。

 ナオト「あまりいない人種だとは思います。それもあって、注目していただいたり、面白がっていただいたりすることは多いですね。例えば、農業をやっている友人が自分の動画を見て、ご飯を大盛りにしてくれることもあります。『うちの米も食べてみない?』という風に」

ユーチューバーとは?  photo by Remi Fukuda

 ── 九十九里の食材と、動画の関係 地ハマグリは「世界一」
地元の食材と動画づくりの関係についても話が及んだ。

 ナオト「九十九里の地ハマグリは、本当においしいです。もう何度も動画で発信していますが、『九十九里のハマグリは世界一おいしい』と胸を張って言えます」

 かのんぷ♪中村大介(以下、大介)「大食い路線じゃないですか。九十九里のハマグリを大食いできる番組って、なかなかないですよね」

 ナオト「ぜひ応援していただきたいです」

 ハマグリの新しい楽しみ方についても、その場でアイデアが膨らんだ。

 ナオト「普段はタレでしか味わわないことが多いですが、エスカルゴバターやマヨネーズなど、いろいろな味の変化を試す動画を、実はやってみたいと思っている」

 大介「それは、ハマグリの新たな可能性ですね」

九十九里は食材の宝庫  photo by Remi Fukuda

 ── キャンプ飯スタイルの原点、そして体重との戦い 
現在の「キャンプ飯」というスタイルがどこから来たのか尋ねた。

 ナオト「アウトドアはもともと趣味の一つだったが、始めたきっかけは、音楽をやるために松戸市に住んでいた時期にさかのぼります。とにかくお金がなくて。でも、おいしいものは食べたいなと思っていて、当時バイトしていた仲間と一緒にバーベキューをしました。それがすごくおいしくて、ただ焼いて塩コショウを振っただけの肉が、こんなにおいしい。それがきっかけで、小さいバーベキューコンロを持ち込んで肉を焼いて食べるという、簡単なところからアウトドアを始めて、趣味にしていきました」

動画投稿を始める際、得意な分野で勝負しようと考えたという。

 ナオト「動画投稿を始めるときに、ある程度慣れている、得意な分野でやっていった方がいいなと思って、そこからキャンプ飯を始めました。まさかあんなに伸びていくとは思っていませんでしたが、やっていくうちに、チャンネル登録者数が増えるのと同時に、体重も増えていきましたね」

ユーチューバーとしての悩みも  photo by Remi Fukuda

 ── 「ユーチューバーになりたい」という子どもたちへ 
今の時代、子どもたちの将来の夢に「ユーチューバー」が挙がることも珍しくない。ナオトさんは、そうした子どもたちへ本音のアドバイスを伝えた。

 ナオト「今の教育現場の先生方は、ユーチューバーという仕組み自体をあまり知らないので、応援もできなければ、否定もできないというのが実情だと思います。そういう子どもたちに、まず本音を言うなら、『やめとけ』と言います。夢を見るのはいいことですが、実際はすごく大変で、みんなきれいな部分しか見せていないので」

一方で、この仕事ならではの良さもあると続ける。

 ナオト「良い点は、何事も自分でやらなければいけないということ。誰も助けてくれないし、全てが自分次第。動画のネタを考えるにしても、撮影に行くにしても、編集するにしても、とにかく自分で動いてやらなければいけません。与えられた仕事をこなすというより、その仕事自体を自分で考えて、自分でやらなければいけない。自分で動く力が、本当に身につく仕事だと思います」

創作活動は共通する部分も多い photo by Remi Fukuda

 ── 登録者11万人になるまでの道のり
チャンネル登録者数11万人に至るまでの歩みを聞いた。

 ナオト「もちろん増やしたかったですし、何より当時は仕事をやりながら活動していたので、とにかく仕事を辞めて、自分の力で食べていきたいという気持ちがすごく強かった。そのためには、チャンネル登録者と再生数を増やしていくことが必要で、とにかく広く発信して、いろいろな人に見てもらえるように、という気持ちで活動してきました」

大変だったことについても、率直に語ってくれた。
 
 ナオト「大変だったことは山ほどありますが、やはりこの業界、表に立つ立場になると、身に覚えのない誹謗(ひぼう)中傷を受けたり、個人情報を特定されたりすることもありました。もともと音楽をやっていたこともあって、怪しげなイベントに利用されそうになったこともありましたし、普通に生活していたら受けないであろう嫌なことは、正直たくさんありましたね」

天候に左右されるという、アウトドアならではの苦労もあるという。

 ナオト「アウトドア系なので、天候に左右される部分も大きいです。夏は熱中症との戦いで、命がけになることもありますし、体調を崩すこともある。冬はとんでもない寒さの中でやることもあって、自然と隣り合わせの動画だと感じています」

転機になった動画についても振り返った。

 ナオト「最初はアウトドア料理をメインに動画をやっていたが、ある日ステーキ丼を出した動画が伸びたんです。これが正解なのかなと思って、そこからひたすらステーキ動画をやるようになりました。ステーキ動画ばかりでもあれなので、そこから少しずつ枝分かれさせて、今は『肉をたくさん食べるチャンネル』として定着しました」

 大介「肉の名刺、というわけですね」

 ナオト「そうです」

ユーチューブの話に関心を寄せる photo by Remi Fukuda

 ── 地元・九十九里を「撮る」ということ
生まれ育った九十九里を被写体にすることで、再発見したことを尋ねた。

 ナオト「自分の動画は食に重点を置いているので、やはり九十九里のハマグリが本当においしいということですね。よそのクリエーターさんと一緒に撮影することもありますが、驚く。『うまい』『うますぎるだろ、これ』って」

その反応こそが、地元では気づきにくい価値だという。

 ナオト「他のクリエーターの方が大絶賛してくれて、送ってほしいと言われることもありますが、送るときはどうしても冷凍にしないといけなくて、それだと味が落ちてしまう。『最初食べたときのあの感動がない』と言って、わざわざまた食べに来られることもあるくらいです」

 大介「そう考えると、九十九里に来る必要性があるということですよね」

 ナオト「そうです。地元のハマグリが食べられるという意味で。地元に住んでいるからこそ、あまりそこに気づかなかったんですが、他の土地の方が食べると、こんなに感動してもらえるのだなと。それは本当に感じましたね」

 ── 東京のクリエーターとの距離感
都心のユーチューバーと地方在住のクリエーターとの違いについて聞いた。

 大介「東京にいる人の方が恵まれていると感じることはありますか。今はオンラインの時代になり、九十九里にいても差がないのではと感じますが?」

 ナオト「おっしゃる通り、もうネットで活動している時代なので、距離感というほどの距離感はあまり感じません。ただ、都内の方は車を持っていない方が多いので、どこに行くにも腰が重いと思うことはあります。自分はどこへ行くにも車でパッと行けてしまうので」

 ── 音楽の経験が、今の自分を支えている
音楽活動をしていた過去の経験が、今の動画作りにどう生きているのか尋ねた。

 ナオト「音楽をやっていた頃は、当然ステージに立っていろいろやっていたが、音楽を諦めて地元に帰って就職したときは、音楽の経験なんて普通に働く上では何の役にも立たないんだなと思っていました。自分がやってきたことは何だったのだろうと感じていたが、動画投稿を始めたら、その経験が本当に生きたんです。カメラを向けられても緊張しないこと、ちゃんと話せること、目には見えていない視聴者に向けて話ができること。そういう経験がすごく生きていて、改めて『音楽をやっていてよかった』と強く思いましたね」

音楽の共通点も多い photo by Remi Fukuda

 ── ユーチューブという仕事と、九十九里での暮らし
仕事としてのユーチューブと、地元での暮らしぶりについて聞いた。

 ナオト「収入を具体的にお伝えすることはできませんが、問題なく生活していけるくらいはいただけています。何より、これがちゃんと継続していってくれたらいいなと思っていますね。やっぱり継続が一番大事なので」

編集作業には、あまり時間をかけない主義だという。

 ナオト「編集にはこだわりすぎず、とにかく撮影をして、なるべく早く編集して、動画をアップするというのを、できれば一日で完結させたいタイプです。それでも、どうしても5時間ぐらいはかかりますね。編集が終わらないとなると、いつまでもやってしまいますし、いったんやめて『明日にしよう』となると、撮影したときに『ここはカットした方がいいな』と思った感覚を忘れてしまうので」

 ── 「ポテンシャルは最強レベル」 九十九里を一言で表すと 
最後に、九十九里を一言で表してもらった。

 ナオト「九十九里のポテンシャルは、最強レベルだと思っています。それを生かしたい。ハマグリは世界レベルの味なので、世界に向けて発信していきたいです」

さらに、地元での新しいアクティビティーづくりへの意欲も語った。

 ナオト「潮干狩りのような、ハマグリを使ったアクティビティーをもっとつくれたらいいなと思っています。その場で焼いて食べられる施設ができたら、絶対に盛り上がると思うんです」

 大介「イチゴ狩りのようなノリで、『ハマグリ狩り』ですね」
 
 ナオト「まさに、それです」

話は尽きない photo by Remi Fukuda

Interviewer:かのんぷ♪ 中村大介 中村里衣
Photo:福田玲美
Location:ドゥカーレガーデンホテル九十九里

ナオトのソト飯すたいる
 

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