特集

【九十九里と、編む。】
「まだ余白のある場所」 ドゥカーレガーデンホテル九十九里・増戸大登支配人に聞く、「何もしない」という贅沢

九十九里の空に映える施設 photo by Remi Fukuda

 九十九里町観光大使・かのんぷ♪と、九十九里町地域おこし協力隊が取り組む連載企画
 かのんぷ♪×九十九里町地域おこし協力隊 特別企画 vol.9

【九十九里と、編む。】

 この地に移り住む人、働く人、子を育てる人――暮らしの言葉を丁寧に紡ぎ、「九十九里」という地域の輪郭を描く対談シリーズ。

 第9回のゲストは、九十九里町・粟生にあるドゥカーレガーデンホテル九十九里で支配人を務める増戸大登さん。約2万平方メートルの敷地にホテル、コテージ、トレーラーハウス、ドームテントグランピング、ヴィラ付きグランピングという5つの宿泊スタイルを展開し、楽天トラベルの首都圏「ペットと泊まれる宿」で1位、グランピング部門では全国2年連続1位を獲得している。「何もしない。それだけのために九十九里へ」というキャッチコピーの同ホテルの哲学と、銀座から九十九里へと歩んできた支配人自身の日々を聞いた。

 ── 「何もしない。それだけのために九十九里へ」に込めた思い 
 かのんぷ♪中村里衣(以下、里衣)「さっそくですが、『何もしない。それだけのために九十九里へ』というキャッチコピーが生まれた経緯を教えてください」

 増戸大登(以下、増戸)「実はスタッフからふと出た言葉です。九十九里は夏には海がありますが、秋・冬・春は『何もない』と思われがちな場所でもあります。ただ、その『何もない』は決してネガティブな意味ではなく、都会で毎日時間に追われている日常に対する『非日常』という、ポジティブな意味合いを込めています。予定を細かく組まずに九十九里へ来ていただいて、何も考えずに時間そのものを楽しんでいただく。そんなイメージから生まれた言葉です」

 かのんぷ♪里衣「『すぐに来れば分かる』というメッセージも、印象に残っています」

 増戸「それは私自身の言葉です。インスタグラムやSNSの動画などで『うちのホテルに来てもらえれば、呼んだ意味が分かります』と発信していたものを拾っていただいた形ですね」

増戸大登支配人 photo by Remi Fukuda

 ── 銀座から九十九里へ、ホテルマンとしての歩み 
増戸さんはもともと銀座のホテルに勤めていたという。九十九里へ来てからの変化について聞いた。

 増戸「銀座で勤めて頃と比べても、今は毎日が本当に楽しくて、人生そのものに面白みを感じています。都会だと建物の高さや景観法の制約が大きいのですが、こちらは土地さえあれば自由に展開していける面白さがあります」

 かのんぷ♪中村大介(以下、大介)「地元の人間としても、街に明かりがともって明るくなるのは、素直にうれしいです。実は5年前、九十九里町の公式PRソングのロケ地として、ドゥカーレさんの施設を使わせていただいたこともあります」

かのんぷ♪はロケ地として利用したことも photo by Remi Fukuda

 ── ホテルの立ち上げと幅広いゲスト層
ホテルそのものの成り立ちについても尋ねた。

 増戸「もともとは社長の趣味のような形で始まったホテルでした。ただ、時代のニーズと、海という立地との相性がうまくかみ合ったのだと思います」

 かのんぷ♪大介「高級感がありながらもアウトドア感があって、風の音や木々の影が室内に入り込んでくるバランスが本当に素晴らしいですね」

宿泊するゲスト層は幅広いという。

 増戸「若いお客さまはもちろん多いのですが、高齢の方やペット連れのご家族、金婚式のお祝いで利用される方まで、幅広くお越しいただいています」

支配人として photo by Remi Fukuda

 ── 非接触化がもたらす、もう一つのおもてなし
さまざまな宿泊スタイルの中で、非日常をどう演出しているのか聞いた。

 増戸「チェックインの非接触化は進めていますが、それはお客さまへの対応をなくすためではありません。むしろ浮いた時間を、お客さまとのプラスアルファの対応に使うためです。スタッフと直接会話を交わすことで、非日常を感じていただきたいと考えています」

 かのんぷ♪大介「先ほどトカゲを見かけたとき、スタッフの方が親切に声をかけてくださって、そこから温かい会話が生まれました」

 増戸「リピーターのお客さまから頂く手紙やご意見は大切にしています。プロポーズのサプライズ演出のお手伝いもしていて、『朝日を見るカップルの撮影』とお伝えしてお客さまを呼び出し、時間になったら花束をお届けする、といった仕掛けもしています」

サービスとは photo by Remi Fukuda

 ── ペットと泊まれるリゾートへのこだわり
ペット同伴にこだわる理由についても聞いた。

 増戸「最初はペット不可でホテルを始めたのですが、要望が多く、少しずつ同伴可能な部屋を増やしていきました。ビジネスのためではなく、ペットも大切な家族の一員だという思いからです。旅行の障害にならないよう、証明書の提出などは不要にしています。その一方で、人間のお客さまと同じように宿泊料金は頂いていて、対等な家族として心からお迎えし、その分しっかりとしたサービスでお返ししたいと考えています」

増戸さんの話に引き込まれる photo by Remi Fukuda

 ── 九十九里の自然を、体験に変える
 九十九里ならではの資源をどう体験に変えているのかを聞いた。

 増戸「たき火でマシュマロを焼いていただく際などに、スタッフから『今日は星空がきれいですよ』と声をかけて、九十九里の魅力を積極的にお伝えしています。雨などの悪天候の日には、持参した3Dプリンターでお客さまの写真からフィギュアを作成して、サプライズでプレゼントする取り組みも行っていました。雨の音そのものも、心地よいBGMとして楽しんでいただけるよう、これからも提案していきたいと思っています」

かのんぷ♪は、すっかり増戸さんのファンに photo by Remi Fukuda

 ── これからの展望、そして「余白」という一言
最後に、今後の展望と九十九里を一言で表す言葉を聞いた。

 増戸「現在の客室数からさらに増やして、100室、あるいは99室を目指したいと思っています。ドゥカーレと九十九里の魅力を、これからもっと多くの方に知っていただきたいですね」

 かのんぷ♪里衣「最後に、九十九里を一言で表すと?」

 増戸「『まだ余白のある場所』だと思います。『何もない』という余白でもありますし、これからホテルを建てて、笑顔をつくっていく可能性の余白でもあります。そして、お客さま自身が新たな価値を見いだしていく余白でもある。そんな場所だと思っています」

話は尽きない photo by Remi Fukuda

Interviewer:かのんぷ♪ 中村大介 中村里衣

Photo:福田玲美

Location:ドゥカーレガーデンホテル九十九里
 

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