
ダンススタジオで photo by Remi Fukuda
九十九里町観光大使・かのんぷ♪と九十九里町地域おこし協力隊が取り組む連載企画
かのんぷ♪×九十九里町地域おこし協力隊 特別企画 vol.5
【九十九里と、編む。】
この地に移り住む人、働く人、子を育てる人――暮らしの言葉を丁寧に紡ぎ、「九十九里」という地域の輪郭を描く対談シリーズ。
第5回のゲストは、九十九里町でダンススタジオを経営する今関麻衣果さん。スポーツ専門学校卒業し、ダンスとヨガのインストラクターとして活動する。3歳の子どもを育てながらスタジオを経営する今関さんに、地元・九十九里を選んだ理由や、子育てと仕事の両立について聞いた。
── なぜ九十九里でダンススタジオを開いたのか
かのんぷ♪中村里衣(以下、里衣)「東京ではなく、ここ九十九里でダンススタジオを開いた理由を教えてください」
今関麻衣果(以下、今関)「九十九里を選んだ理由は、地元が好きだからです。九十九里で生まれて、九十九里で育ちました」
高校までは九十九里町で過ごし、専門学校時代に東京へ通った。
今関「高校は千葉市に通いながら東京でダンスを習っていて、専門学校もそのまま通いで探しました。地元が好きすぎて、下宿はしなかったです」
かのんぷ♪里衣「通える範囲にあるというのも、九十九里ならではですね」
今関「通える距離です。『九十九里から来た』と言うと遠い印象を持たれることも多いですが、意外と通えます」
スタジオを地元で開いた理由には、家族の存在も大きいという。
今関「家族の近くで仕事をしたくて。祖母も隣、実家も近い。家族と何かしたいという思いがありました。妹と一緒にスクールを運営しながら、子育ても家族と自然に近い環境でしたかった」
かのんぷ♪中村大介(以下、大介)「都内でクリエーティブな仕事をしている人は、何かを犠牲にしてがむしゃらにやっている人が多い印象があります。でも田舎暮らしをしながら東京に学びに行ける環境は、九十九里ならではの利点だと思います」

今関麻衣果さん photo by Remi Fukuda
── 東京のダンスシーンとの距離感
地方でダンスを教える上で、トレンドとの距離感をどう埋めているのか尋ねた。
今関「学びに行くしかないです。九十九里で発信していくには技術を磨かないといけないですし、トレンドやはやりもありますから、自分から東京に学びに行きます」
かのんぷ♪里衣「一度東京の学校で人脈を作った上でここにいるのと、そうしたつながりがないままここにいるのとでは、大きく違うと思います。2年、3年でもその現場に出て学んだことは、期間だけの学びではなく、その後もずっとつながっていきますよね」
今関「そうですね。学べる距離にあるというのは、本当に大きいと思います」

スタジオ内 photo by Remi Fukuda
── 九十九里でダンスを教えるということ
九十九里でダンスを教えていると、子どもだけでなく地域の年配層からの反応が印象に残っているという。
今関「子どもたちは、スタジオができる前は公共施設を借りてレッスンをしていました。スタジオができたときは喜んでくれました。それ以上に、地域の年配の人から『近くに体を動かせる場所ができてうれしい』という声が多かったのが、うれしかったですね」
教室はダンスに限らず、ヨガやエアロビクスも取り入れている。
今関「年配の方の中にはヨガが好きな方もいますし、踊るのが好きという方はエアロビクスとダンスの両方に来ます。子どもの数が少なくなっている分、大人の方にも需要のあるレッスンを増やしているのでうれしいです。生徒は圧倒的に女性が多いですね」
かのんぷ♪里衣「ダンス経験のある年配の人は、複雑なリズムを無意識に取れる方が多いんです。三連符やシャッフルのような、理論としては理解していなくても体に入っているというか」
今関「そうです。無意識に体が覚えている」

ダンススタジオの外観は青空とのコントラストが映える photo by Remi Fukuda
── ダンサーと母親、両立の日々
3歳の子どもを育てながらスタジオを経営する日々について聞いた。
今関「子育てもしたいし、自分で経営もしたかった。家族のサポートが必要で、それも込みで地元にスタジオを構えた。母や祖父母にもサポートしてもらいながらなので、『大変でどうにもならない』となったことはあまりありません」
レッスンは主に夕方から夜にかけて行うため、その時間帯の家事や食事は夫に任せているという。
今関「基本的に夕方から夜が仕事なので、お風呂やご飯はその間、夫に任せています」
「ダンサーと母親、どちらかを犠牲にしていると感じる瞬間はありますか」の問いには、明確にこう答えた。
今関「全くありません。大変なこともありましたが、やりたかったことは今、全部できています。いろいろなサポートのおかげです。一人ではできなかったこと」
ただし、子どもが体調を崩した時には、レッスン中でも心が揺れるという。そんな時、妹の存在が支えになっているという。
今関「子どもが熱を出している時にレッスンをすることもあるので。レッスン中子どもが気になってしまうことはあります」

仕事も子育ても photo by Remi Fukuda
── 九十九里の子どもたちを見て、感じること
地域の子どもたちについて尋ねると、九十九里ならではの温かさを挙げた。
今関「九十九里の子たちは優しいですよね。思いやりがあります。年齢が上がるにつれてチャレンジ精神が強くなるイメージもあります」
かのんぷ♪里衣「ひいおじいちゃん、ひいおばあちゃんと一緒に暮らしている子も多いですよね」
今関「そうですね。そういう環境がいい影響している」

創作者同士の話が弾む photo by Remi Fukuda
── 20代で起業して、一番きつかったこと
スタジオ開設までの道のりについては、資金集めと周囲の理解を得ることに苦労したと振り返る。
今関「このスタジオを建てるための資金を集めるのは、率直に大変でした。それ以上に、この土地に子ども向けの教室を建てること自体、『子どもがどんどん少なくなっていくのに、集客はどうするの』という反対の声が多くて。やりたいと思ってから、3年ほど動けなかった時期がありました」
構想から資金集め、事業計画の策定まで、約3年をかけてオープンにこぎ着けた。
今関「応援してくれたのは、母親たちでした。他は『なぜここなの』『もう少し便利な場所でもいいのでは』という反応で、つらい思いをしたことも。それでも家族の近くでやりたい、地元の人を巻き込んでやりたい、地元が好きという思いを押し通して、3年越しにオープンしました。受け入れてもらうまでに時間がかかったことが一番大変でした」

母親としても共感 photo by Remi Fukuda
── これからやりたいこと、九十九里での夢
これからの展望については、地域の教育現場との連携や情報発信への意欲を示す。
今関「以前、ダンスのレクチャー動画を撮影したことがあって、幼稚園や小学校の先生方が活用してくれたそうです。生徒やフォロワーにも動画撮影などに協力してもらいながら、九十九里の魅力を発信していけたらと思っています。街のPRにも一緒に協力して盛り上げていきたいです」

「九十九里で遊ぼう」ダンス photo by Remi Fukuda
── 「家族みたいな温かさ」 九十九里を一言で表すと
最後に、九十九里町を一言で表してもらった。
今関「家族みたいな温かさかな。本当に温かいと思います」
かのんぷ♪里衣「地域も、家族みたいなところがありますよね」
今関「そうですね。つながりがあるということだと思います。近所付き合いも深いですし、家族ですね」

話は尽きない photo by Remi Fukuda
Interviewer:かのんぷ♪ 中村大介 中村里衣
Photo:福田玲美
Location:studio EnFlow.