特集

【九十九里と、編む。】
「日の出とともに」 開業30周年 ホテルサンライズ九十九里・鈴木洋美副支配人に聞く、変わりゆく観光地の30年

 

 九十九里町観光大使・かのんぷ♪と、九十九里町地域おこし協力隊が取り組む連載企画
 かのんぷ♪×九十九里町地域おこし協力隊 特別企画 vol.6

【九十九里と、編む。】

 この地に移り住む人、働く人、子を育てる人――暮らしの言葉を丁寧に紡ぎ、「九十九里」という地域の輪郭を描く対談シリーズ。

 第6回のゲストは、九十九里町のホテルサンライズ九十九里で副支配人を務める鈴木洋美さん。同ホテルは今年で開業30周年を迎えた。全室オーシャンビューを掲げ、九十九里浜のそばで観光客と地元住民の双方を迎えてきた30年間について、開業当時からの変化と、これからへの思いを聞いた。

 ── 開業30年、変わりゆく九十九里の宿泊事情
 かのんぷ♪中村里衣(以下、里衣)「ホテルサンライズ九十九里30年の歩み、開業当時の九十九里町と今の変化を教えてください」

 鈴木洋美(以下、鈴木)「九十九里町の宿泊施設といえば、当ホテルと昔ながらの民宿がほとんどでした。最近は民泊も含めてグランピングのような施設や、おしゃれな建物も増えて、だいぶ雰囲気が変わりました」

宿泊施設の選択肢が広がる一方、客数そのものは開業当初の方が多かったという。

 鈴木「オープン当時と比べると、今は若干落ち着いていると思います。当時はわっと来る感じでしたが、今は緩やかというか」
その背景には東日本大震災やコロナ禍があったと振り返る。

 鈴木「感じるのは団体が少なくなったことかと。コロナ禍では団体で動くこと自体が難しくなり、バスで同じ空間に乗ることを心配する方が多かったですね」

30年間、変わらず大切にしてきたのは「お客さまに喜んでいただくこと」だと鈴木さんは言う。

 鈴木「お客さまが来て良かったなと思っていただく。それをモットーにやってきました」

施設の庭で photo by Remi Fukuda

 ── ゲストが求める景色、地元客が求める非日常
九十九里を訪れるゲストが一番の目当てにしているのは、やはり海の景色だという。

 鈴木「この景色、海を楽しみに来ていただいているようです。オーシャンビューで、のんびりできる環境ですから」

ホテルサンライズ九十九里はどの部屋からも見え方は異なるものの、全室から海を望める造りになっている。客層は曜日によって傾向が分かれる。

 鈴木「平日は年配の方が多いです。夏休みに入るとファミリー層、お子さま連れが増えてきますね」

15人以上の団体客に対しては、宴会や宿泊に合わせて送迎も行っている。

 鈴木「千葉県内であれば送迎対応しています。宿泊がメインですが、宴会利用の地元の方も多いです」

 かのんぷ♪里衣「送迎は30年前からやっていましたか?」

 鈴木「30年前も送迎はありましたが、当時は最寄りの駅までが中心でした。大網や東金など、エリアを少しずつ広げてきました」

鈴木洋美さんphoto by Remi Fukuda

 ── コロナ禍を経て、少しずつ変わった観光地の姿
コロナ禍を経て、九十九里町を訪れる客層そのものが大きく変わったわけではないと鈴木さんは話す。ただ、団体客の減少に加え、海水浴を目的とする客が減った実感もあるという。

 鈴木「海水浴など海のレジャーを楽しむことが少なくなったと感じます。最近は暑さもあって、外で楽しもうという方が減ってきている」
 

話が弾む photo by Remi Fukuda

 ── 観光地ホテル、九十九里ならではの強み
九十九里浜、太平洋沿岸沿いにはオーシャンビューを掲げるホテルが複数並ぶ。その中でのホテルサンライズ九十九里の強みを尋ねた。

 鈴木「大きなレジャー施設があるわけではありませんが、砂浜まですぐに出られて、のんびりできるのが強みです。屋内の温水プールもあるので、海で泳げない時期でも利用いただけます」

 かのんぷ♪中村大介(以下、大介)「個人的にはやっぱりアクセスだと思います。勝浦に行くにしても、九十九里は途中で大体経由しますよね。高速からそのままホテルに入れるのも魅力だと思います」

 鈴木「都内からも近いです」

かのんぷ♪は、サンライズ九十九里の大ファン photo by Remi Fukuda

 ── 副支配人としての日々、これから10年・20年への課題
副支配人という肩書ながら「一従業員」だと鈴木さんは自らを位置づける。日々向き合っているのは、人材の確保と、これからの10年、20年先を見据えたホテルの在り方だという。

 鈴木「難しいのは、これから運営を担う従業員の働き手をどう確保していくか。あと10年、20年先の来客をどうするか。周りの宿泊施設も多様化しているので、どう差をつけていくかを考えています」

その上で、九十九里の自然と立地は、ホテル、地域にとって大きな財産だと話す。

 鈴木「九十九里の自然は財産です。立地の良さは本当に恵まれていて、強みでもあります。九十九里の海岸線は、誰が見ても心安らぐ場所だと思うので、この自然と大事に関わっていけたらと思っています」

リゾートの雰囲気 photo by Remi Fukuda

 ── 1カ月滞在するゲストも 海以外の九十九里の楽しみ方
海以外の九十九里の魅力については、答えるのが難しいテーマだと前置きしながら、長期滞在するゲストの存在を挙げた。

 鈴木「仕事のワーケーションではなく、本当にのんびり1カ月ほど滞在する方がいます。日常とは違う非日常を、のんびり味わっていただけるということで来訪しているようです」

 かのんぷ♪里衣「九十九里は海や自然だけでなく、人が温かいと思います。一見シャイな人も多いですが、話せば話すほど仲良くなって、いろいろ教えてくれる。畑にいるおじいちゃん・おばあちゃんに話しかけると、今年の落花生の出来を気さくに話してくれることもあります」

 かのんぷ♪大介「ホテルではあるけれど、民宿のような体験ができるのも、都心のホテルとの違いの一つ1つだと思います」

 鈴木「確かに、都会とは違うフランクな雰囲気はあると思います。従業員も節度を保ちながら親しみやすく、年齢層も若い方から年配の方まで幅広いので、そういうところも影響しているのかもしれません」

館内の売店には、朝仕入れた地元産の野菜やイチゴ、梨など季節の食材が並ぶ。

 鈴木「地元の方もよく買い物に来てくださっています」

 かのんぷ♪大介「地元の人が泊まりに来ることもある。日の出を見るために」

夏には手持ち花火やバーベキュープランも用意している。

 鈴木「手持ち花火は、施設内でできる環境を整えています。家族の宿泊客が花火を持参することもあり、バケツを貸し出しています」

 鈴木「風鈴を今年からロビーに置いています。昭和の風物詩ですね」

親しみやすさも魅力の一つ photo by Remi Fukuda

 ── 商工会女性部として、地域との関わり 
ホテルとしての地域連携について、鈴木さんは九十九里町観光協会や商工会との関わりを挙げた。

 鈴木「商工会では産業祭などに出展しています。私自身は商工会女性部に入っていて、フラダンスの準備などに関わります。地元の人との触れ合いを大切に、私自身も元気をもらっています」

 かのんぷ♪里衣「野菜などの一次産業との関わり方や物販も含めて、間違いなく地域の拠点の一つになっていると思います」

 鈴木「もしかしたら30年前より今の方が、その役割は大きくなっているかもしれません」

晴天の下 photo by Remi Fukuda

 ── 「日の出とともに」 九十九里を一言で表すと
最後に、九十九里町を一言で表してもらった。
 鈴木「これからも、日の出とともに頑張っていきたいと思います」

ホテルサンライズ九十九里では、フロントに日の出の時刻を掲示しているほか、大浴場は日の出の30分前に開場する。フロントに日の出の時刻を尋ねる宿泊客も多いという。

 鈴木「元日は混雑しますし、寒い時期でもありますが、海岸や大浴場からも、日の出が見られます」

 かのんぷ♪大介「地元の人ほど、富士山に登らない、東京タワーに上らないということもあると思います。九十九里の人でも、ホテルサンライズ九十九里の前をよく通るけれど、泊まったことはないという方も多いかもしれない。非日常を味わえる、リフレッシュの場として活用していただきたいですね」

話は尽きない photo by Remi Fukuda

Interviewer:かのんぷ♪ 中村大介 中村里衣
Photo:福田玲美
Location:サンライズ九十九里

サンライズ九十九里 

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