長生村の尼ケ台(あまがだい)総合公園(長生村本郷)にある「湿生植物園」で5月10日、「長生・尼ケ台湿地植物を守る会」が観察会と保全作業を行った。今年4月に始動した新体制下で初の月例観察会となり、会員9人と会の事務局を務める長生村職員が参加した。
園内では、この時期に見頃を迎える湿地植物のトキソウが淡いピンクの花を咲かせていた。ノアザミも紫色の鮮やかな花を開き、ほかの植物も青々と背を伸ばす中、参加者は植物に詳しいメンバーから植物名や見分け方の説明を受けた。図鑑を片手に確認する人や、しゃがみ込んで花の写真を撮る人など、思い思いの形で湿地の植物に向き合う姿が見られた。
夫婦で参加した渡辺岬花さんは「冬の開花調査では花が見られなかったが、春になってトキソウが咲いたのを見るとうれしい」と笑顔を見せる。「湿地と聞いて水浸しの場所を想像していたが、水辺もそうでない場所もあり、グラデーションがあるのが発見だった」と振り返る。
保全活動について、会長の橋澤義憲さんは「自然界の湿地は氾濫で定期的に表土が流されて環境が保たれるが、ここではそれが起きず大きな植物が育ってくる。トキソウなど栄養の少ない場所に特化して進化した湿地植物は、放置すれば他の植物に負けてしまう」と話す。
同会は4月、運営体制を見直した。これまでは会員が現地で調査・保全をボランティアで担う団体だったが、会員の高齢化や担い手不足が課題となっていた。本年度からは毎月の会報誌発行、月1回の会員向け観察会、会費制の導入など、現地作業に出られない人でも活動に関われる仕組みを整えた。会費は年間2,000円。長生村文化会館・生涯学習課で入会を受け付けている。
今後の活動について、橋澤さんは「地域の子どもたちや次の世代に興味を持ってもらいたい。作業に出られなくても、情報が得られて魅力を知れる体制にしたい。地域全体で、この貴重な自然を守る仕組みをつくりたい」と意欲を見せる。