旭に拠点を構えるピーナツブランド「Bocchi(ボッチ)」(旭市神宮寺)が4月11日・12日、10周年記念イベントとして、低温倉庫で、セガワ社長の加瀬宏行さんとゲストによるトークセッションが行われた。
両日、炊きたての「おおまさり」甘納豆や落花生のサブレを振る舞い、来場者は、それらを味わいながら話に耳を傾けた。
11日の第1部では、山口陶器・かもしか道具店(三重県)の山口典宏さんが地場産業の継承をテーマにトーク。「陶器も落花生も同じ土から生まれている。限りある資源である土に感謝しながら使い続けていくことが大切」と話し、地域の生産者が連携して産業を続けていく必要性を説いた。東海地区の窯業メーカーや商社、有志が参加する「東海・湖産地構想」の取り組みや、土への理解を広げる「土談」プロジェクトを紹介。現在は地域の釉薬専門店の仕事を引き継ぐためクラウドファンディングで協力を呼びかけているという。
第2部では旭市教育委員会生涯学習課の猪野映里子さんが、千葉県における落花生の歴史を解説。千葉県への導入は1876(明治9)年、現在の山武市草深の牧野萬右衛門が神奈川県から種を持ち帰ったことに始まるとされる。千葉県令・柴原和(やわら)が栽培を奨励すると、1878(明治11)年に鎌数村の金谷総蔵(かなや・そうぞう)村長が地域への普及を試みたが、花が咲いた後に土の下で実が育つ生態から「縁起が悪い」「悪魔の食べ物」と強い反発を受けたという。それでも金谷村長は砂地での栽培のしやすさを農民に伝え、東京での販路も開拓。落花生は北総地域を代表する作物へと成長した。
その功績をたたえる「落花生栽培発祥の地」の記念碑は鎌数伊勢大神宮に立ち、旭市の指定文化財となっている。猪野さんは「祖母が落花生の殻むきをしている姿は私の原風景」と話す。加瀬さんは5月9日開催の種まき体験イベント「野積祭(のづみさい)」も紹介した。
12日の第1部では、福井市で240年以上続く老舗和菓子店「昆布屋孫兵衛」17代目の昆布智成さんが登壇。フランス菓子職人の経験を持ち、現在は和洋を掛け合わせた菓子作りを追求している。東京・青山の「UN GRAIN(アングラン)」在籍中に縁があり、ボッチの畑を訪問。その後、加瀬さんの依頼で菓子の監修を担うようになった。商品に使う米粉は地元の無農薬栽培米を50%、生産過程で砕けた「いすみ米」を残り50%に活用している。農家との米粉用米生産契約によって農家の収入安定にも寄与する仕組みで、加瀬さんは「食べる人が増えなければ続かない。この取り組みを周囲の人に伝えてほしい」と呼びかけた。
第2部では、映像制作者の新井Lai政廣さんを招き、加瀬さんとの出会いから映像完成までの経緯を振り返るトークを披露したほか、完成映像を上映。上映後、加瀬さんの妻・真美さんは昨年発売した「グルテンフリーシリーズ」について、「スタッフが地元の素材を使って作り上げた商品。自然が豊かになっていくお菓子で、この思いを持つ人が増えればこのプロジェクトは成功」と話した。
加瀬さんは「落花生の花言葉は『仲良し』。ここにいるみんなは友達だと思って、末永くよろしくお願いします」と呼びかけ、イベントを締めくくった。