旭市東総文化会館(旭市ハ)の大ホール2階ギャラリーで2月28日~3月22日、「にぎやかマキアート展 その2」が開かれた。
多古町で障害福祉事業を運営する社会福祉法人「槇の実会」の利用者の作品が並んだ。同法人は「一日一笑!毎日賑(にぎ)やか!!」を理念に、入所施設、グループホーム、通所施設などを運営している。
ギャラリー入り口正面に展示されているのは、千葉県障害者芸術文化活動支援センター「うみのもり」(一宮町一宮)が主催する展覧会「うみのもりの玉手箱5」で「うみのもり賞」を受賞した若井智彦さんの作品。普段は細密な描写を得意とする若井さんだが、今作は色を大きく塗った珍しい作品。職員の青木大祐さんは「何を描いているのかは若井さんにしか分からない。でも、これが若井さんの世界」と話す。
槇の実会の芸術活動は、2023年に始まった。多古町と交流があった「いろだま」(一宮町一宮)を運営する美術家・こまちだたまおさんが同法人を訪れ、定期的に芸術活動の時間を設けている。色や画材、表現方法は全て本人が選び、途中で席を離れることも自由。活動は本人のペースに委ねられている。
丸みを帯びた積み木は、阿部正さんが事業所に来る度に落として音を楽しむ日課の道具。こまちださんから「これも芸術活動ですね」と声をかけられたことから、日常の行為を表現活動として捉え直すきっかけになった作品だという。
小さなメモ帳に黒い文字が並ぶ「結婚式」は、3年前に亡くなった佐久間勝利さんが職員に手渡し続けた手紙を集めた作品。何千枚も書かれていた手紙のうち、職員が手元に保管していた11枚を展示した。職員の田辺綾乃さんは「初めて手紙をもらった時はうれしかった。毎日手紙をもらうことが当たり前になっていたが、思い返すと、とても貴重なこと。それを大切にできていたのか、と課題にも気づけた」と話す。
堀井龍飛さんの「生きる」は、自ら裂いたり破ったりして好きな形に変えた服。破った服は必ず身に着けているという。職員の高須翔さんは「最初は服を着るのが嫌いなのかと思っていたが、ずっと見ているうちに、宝物なのだと感じるようになった」と話す。
習字の作品群は、利用者それぞれが書きたい文字や形を表現したもの。職員が日常の様子を観察するうちに「好きなものを描いている」と気づき、「えびせん」「線路は続くよ」などの題名を考えるようになった。職員の宇野航さんは「日常の姿を見ていると、好きなものを書いたのだと分かる」と話す。
さわやか芸能発表会に向けて制作された舞台装飾も見どころのひとつ。大きい布への色付けは各事業所が担当し、複数の色を混ぜて塗られている。岩田健一さん手作りの楽器も展示した。ギターは弦の調整が可能で、ドラムは素材を何度も張り付けて仕上げた力作。発表会当日は手作りドラムの椅子が低かったため、客席からは岩田さんの姿が見えなかったというエピソードも残る。
田辺さんは「芸術活動を通して、職員が利用者との関わりを見直すきっかけとなる場面が多い。はみ出すことはいけないことだと思っていたが、それは気持ちがあふれているということだと教わった。普段から、ゆとりをもって関われるようになった」と振り返る。