千葉県北東部の山武地域、成田地域、香取地域、海匝地域を「奥千葉(OKUCHIBA)」としてブランド化し、地域活性化を目指す一般社団法人「奥千葉プロジェクト」(匝瑳市八日市場)が11月10日に設立された。
同法人は、横芝光町出身のベーシスト・依知川伸一さんが代表理事を務め、理事4人、監事1人の体制で発足する。「0479クラブ」として2019(平成31)年から地域内でコンサート活動を展開してきた依知川さんは、より広域での活動を模索。約3年の構想を経て「奥千葉」の名称にたどり着いた。
依知川さんは「千葉県北東部という言葉しかなかった。奥飛騨や奥多摩のように閉塞(へいそく)感がある地域に使われる『奥』だが、この地域は空が広くてカラッとしている。それを逆手にとって、閉塞感のない『奥』でもいいのではないか」と話す。
音楽、農業、スポーツを3本柱として活動を展開する同プロジェクト。音楽では、これまで9回開催してきた地域内コンサートを継続。千葉県のアーティストフォローアップ事業の選考委員を務める依知川さんの人脈を生かし、ミュージシャンを招いた公演を重ねてきた。本年度は千葉県も協賛に加わり、活動の幅が広がっている。
農業分野では「奥千葉ファーマーズ」として、理事の小関敬人さんを中心に約20人の生産者が登録。「農家は業界内では有名なので、点の輝きを面の輝きとして、この地域全体を見せていきたい」と小関さん。2月15日には匝瑳市とタイアップした地域PRイベント「ストーリーマーケット」を開催予定で、「食べチョク」などのECサイトとも連携し、地域外への露出を強化していく。
スポーツでは、子どもたちが都市部と比べて不利にならない環境づくりを目指す。バスケットボール大会「毎日薬局カップ」に「奥千葉プロジェクト」の名称を冠するなど、地域のスポーツ振興に取り組む。
理事の川島幸夫さんは「IT、ネイチャーポジティブ、健康寿命、婚活など、今後もさまざまな分野に活動を広げていきたい。奥千葉というブランドの下で、それぞれが自由に活動しながら、全体として地域を盛り上げていく」と展望を話す。
依知川さんは20年間の海外ツアー経験から日本の素晴らしさと故郷の魅力を再認識したという。「2050年には人口が半分以下になる可能性がある自治体ばかり。子どもたちが高校卒業後に地元で就職したい、将来帰ってきたいと思える、かっこいい地域にしたい」と力を込める。「奥千葉イコールかっこいいところ、と言ってもらえるのが目標」とも。
民間主導で始まった地域シティープロモーション活動は、5年後、10年後を見据えた長期的な取り組みとして、じわじわと地域に浸透していくことを目指している。「湘南のように、周りのみんながここは湘南だと言って、全国的に輝いている言葉。奥千葉も『いいところ』と言われるようになりたい」と力を込める。