
一宮の「パタゴニアサーフ千葉ストア」(一宮町東浪見)で9月23日、「第4回一宮町魅力発表会」が開かれた。
世界サーフィン保護区の認定を目指す一宮町の取り組みをテーマに、地域に住む女性3人によるトークセッションが行われ、56人が参加した。
登壇者は、プロボディーボーダーで2019年・2023年世界チャンピオンの大原沙莉さん、2021年に同町へ移住したライフスタイルクリエーターのまいまいですやんさん、同町出身で梨農家の秋山莉江さん。それぞれ異なる立場から一宮町の魅力や課題について語った。
世界サーフィン保護区は、世界的に貴重なサーフスポットやその周辺環境や地域の文化、自然、景観を守り、未来に継承する取り組み。単なる波の保護にとどまらず、経済効果、生態系保全、地域文化の継承を総合的に評価し、持続可能な地域づくりを目指している。これまで世界の13地域が認定されており、一宮町は日本初の認定を目指している。
大原さんは「サーフスポットの維持・再生は生態系にとってもプラス。みんなで平和に波乗りを楽しむためにも守っていく必要がある」と保護区の意義を説明。「一宮町は毎日サーフィンできる有名な土地。世界に通用するサーファーが育ちやすい場所」と地域の特性を話した。
移住者の視点から参加したまいまいですやんさんは「東京に住んでいた時は子どもを持つ願望がなかったが、こちらに住んでから子育てへの憧れが生まれた」と地域の子育て環境を評価。「知らない人にも手を差し伸べてくれる温かさがある。そういう人のコミュニティーの温かさを残していきたい」と話す。
地元生まれの秋山さんは「新しいことを作ることよりも、古いことや行事をつないでいくのは難しい」と伝統継承の課題を指摘。一方で「世代を変えてもしっかり守りつつ、新しい人たちの意見も入れてつなげていきたい」と今後への思いを伝えた。
質疑応答では、参加者から「地元住民の理解が重要」「サーフィン関連業者の協力も必要」などの意見が出され、認定に向けた課題についても議論された。
同町では今後、地域住民との対話を重ねながら世界サーフィン保護区の認定を目指していく方針。イベント終了後は「あきやま梨園」で収穫した梨を振る舞いながら、参加者同士の交流時間が設けられ、地域づくりに向けた議論が続いた。