JR茂原駅周辺の商店街などで7月26日・27日に開催される「第71回茂原七夕まつり」に向けて、県立茂原高校の生徒たちが、海洋プラスチックごみとペットボトルキャップを組み合わせたリサイクルアイテム「プラクルホルダー」の開発に取り組む。
生徒らは、「使い捨ての文化を少しでも変えたい」との思いから、資源循環を考えるきっかけになるワークショップと販売を予定している。
3年の嶋田帆那さんに聞いた。
2023年度から総合的な探究の時間として「茂高街塾」という地域連携プログラムが始まりました。私たちはその一環として、1年生の夏に茂原七夕まつりのインターンシップに参加しました。
毎年盛り上がる祭りなのに、裏ではたくさんのごみが出ていて…。それを見たときに「何かできることがあるのではないか」と考え始めました。
最初に取り組んだのが、ペットボトルキャップを再生して作った先割れスプーン兼キーホルダー「Capoon(キャップーン)」の開発と、手作りごみ箱を使ったごみの分別活動でした。
ごみは出るもの。でも少しの工夫で減らせるんじゃないかと思い、まずは自分たちにできることから始めました。
プラクルホルダーの組み立て方を模索
その後、活動を知ったマテリアルリサイクル会社「セイコーインターナショナル」からの呼びかけで、長南町の工場を見学。同社が取り組む海洋プラスチック再利用プロジェクト「Re:Ocean」の話を聞き、私たちのアイデアが次の段階へと進みました。
海洋プラスチックも、色や形が違ってすごく面白い素材だと気付きました。どうせならそれを生かして、ちゃんと使えるものにしたかった。
デザインの相談は、昨年の「Capoon(キャップーン)」開発にも協力してくれたプラスチック成形工場「昌和プラスチック工業」も加わり、本格的な製品開発が始まりました。
カラフルなカラーリングでさまざまな組み合わせが可能
プラスチックとリサイクル、そしてペットボトルホルダーをかけ合わせた「プラクルホルダー」という名前のプロダクト。波と魚影をモチーフにし、尾びれの部分を立てればスマホスタンドとしても使える設計にしました。
海で泳ぐ魚の形をしたデザインにして、「この魚のすむ場所をなくしたくない」という思いを込めました。見た目が大事だと思ったので、目に留まるよう工夫しています
海洋プラスチックは土台に、魚のパーツはペットボトルキャップから。それぞれ素材の特性が異なるため、強度や組み立てやすさの面で改良を重ねました。
土台と魚パーツのバランスや、どんなサイズのボトルに合うかなど、試作を何度も繰り返しました。難しかったけど、自分たちで考えたものが形になっていくのは楽しかったです。
製品ができる様子を見ながら撮影
七夕まつり当日は、色とりどりのパーツを自由に選んで、会場でその場で組み立てができるワークショップを行います。対象は子どもから大人まで誰でも参加できます。
キャップの色って意外とたくさんあるんです。分別することで、いろいろなカラーを使えるようになりました。「自分だけのホルダー」が作れるのは楽しいと思います。
製品には、Re:Oceanのロゴが抜き文字で刻まれ、セイコーインターナショナルと対馬市の協働プロジェクトとの連携も伝わる仕様になっています。
完成品を袋に詰める作業も生徒が行う
今後は、七夕まつりだけでなく、より多くの人に手に取ってもらえるよう、製品の改良や企業との連携を進めていきたいと考えています。
最初は小さなきっかけでした。でも、プラスチックも生かせるし、リサイクルにも関心を持ってもらえるって、自分たちの活動で気付きました。これからも「使い捨てじゃない」選択肢を考えていきたいです。
「プラクルホルダー」は7月26日・27日の両日、茂原七夕祭りの会場で10時30分から18時30分まで、ワークショップと販売を行う予定です。
(取材・執筆=九十九里経済新聞高校生リポートチーム)