一宮町の室川農園(一宮)で、2026年産の田植えに向けた種まき作業が進んでいる。3月20日(春分の日)からの田植えに向け、慣行栽培・有機栽培の計11品種を順次、播種(はしゅ)している。
室川農園は5代目となる室川典弘さんが営む水稲農家。通常7人、収穫最盛期には10人体制で作業に当たる、千葉県を代表する米農家の一つ。
種まき作業は今年から工程を見直した。これまでは種をまいた育苗箱をいったんパレットに積んで発芽(目出し)させてから田んぼに並べていたが、今期は播種・目出し・並べの3工程を1日で完結させる方式に変更。作業の二度手間をなくすことで、空いた時間帯に田んぼの整備も並行して行えるようにした。「毎週約2000枚ずつ播種しながら、5月15日の田植え終了に向けて逆算したスケジュールで動いている」と室川さんは話す。
育苗ハウスのうち1棟はガラス温室で、一般的なハウスより高温になるため他品種では苗が伸びすぎてしまう。ところが、米粉専用品種「笑みたわわ」はこの環境と相性が良く、適度な草丈に仕上がるという。「ガラス温室で笑みたわわを育苗するとちょうどいい。品種と施設が合っている」と室川さん。同品種は高アミロース米の一種で、コシヒカリに比べて粘りが少なく、フワッとした食感の米粉に仕上がり、パンやお菓子への利用に向く。
有機栽培は今期で3年目に入る。「ふさおとめ」「ふさこがね」「粒すけ」の3品種を有機で作付けし、アイガモロボットを使った無農薬栽培に取り組む。今年は慣行品種を先行して植えることで、害虫を分散させる工夫も導入した。「有機田への虫の集中を少しでも緩和するための植え付けの順番を今年は変えてみた」と話す。
収穫物の販路についても今期から整備を進める。有機米の一部はふるさと納税を通じた販売を想定しており、玄米米粉については秋田・京都・新潟の製粉工場に試験委託を行い、ミクロン単位で粒子の大きさを変えながら用途別の可能性を探っている。将来的には一宮町内に有機JAS認証対応の玄米米粉専用製粉工場を建設し、「一宮町を玄米米粉の聖地にしたい」との構想も持つ。
3月20日の田植えは「春分の日」に当たり、今後、7月中旬ごろの早期収穫まで作業は続く。室川さんは「準備段階は整った。後は3月20日から植えるだけ」と意気込む。