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全盲アーティスト鈴木裕二さん、ヒマワリ油のデザイン制作 職員と二人三脚で

北根さん、鈴木裕二さん、栄子さん

北根さん、鈴木裕二さん、栄子さん

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 一宮の障害者支援施設「青松学園」(一宮町一宮)と就労継続支援B型事業所「キッチンせいしょう」(同)が、農福連携の取り組みとして生産するヒマワリ油「向陽笑(ヒマワリ)」が完成し、販売を手掛ける新ブランド「廻廊。(かいろう)」のサービスが、2026年1月1日から始まる。

商品「向陽笑」

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 パッケージデザインを手がけたのは、青松学園利用者で全盲の鈴木裕二さん。職員との協働で創作活動して生まれた作品が採用された。

 鈴木さんは自閉症があり、青年期に視力を失う。母・栄子さんは「子どもの頃は飛行機が好きで、家族で海外旅行を楽しむなど活発に過ごしていた。幼少期からネジ回しやこたつの分解など、手先を使うことが多かった」と話し、手先の器用さを発揮していたという。

 創作活動を担当した職員の北根真弓さんは「目が見えないから、手のひらで表現するしかない。絵の具なら手を使ってできると思った」と振り返る。9年前に同施設に勤務を始めた北根さんは、認知症高齢者施設での経験を生かし、利用者とのコミュニケーションを大切にしてきた。鈴木さんとの作業では、一対一で声をかけ続けることで、鈴木さんも笑顔で応え、作品を完成させていく。

 今回のヒマワリをテーマにした作品は、最初に虹を描いた後、「もっとやってみよう」と大胆に色を重ねていく中で生まれた。北根さんは「色を出してやっているうちに、5分ぐらいで仕上がった」と制作過程を説明。栄子さんは作品を見て「岡本太郎さんの『芸術は爆発だ』を思い出した」と驚いたという。

 農福連携の取り組みは7月に始まり、キッチンせいしょうの利用者6人が一宮町の農家の畑でヒマワリの収穫作業を実施。強い日差しの中、はさみを使って一輪ずつ丁寧に刈り取った。長生農業協同組合担い手支援課も立ち会い、作業工程の工夫についてアドバイスした。

 収穫したヒマワリは種の採取や加工を経て油に加工し、商品名「向陽笑」は北根さんが考案。60案の中から選ばれた。この取り組みは、福祉施設と協働でプロダクトを制作・販売するブランド「廻廊。」の第1弾。今後は鈴木さんとアーティストマネジメント契約を結び、他の企業商品パッケージやデジタルアート作品として展開していく予定。

 青松学園副施設長の田辺真さんは「収穫後、商品のパッケージデザイン制作や販売までが見えることで、利用者にとって楽しみが生まれる」と話す。北根さんは「鈴木さんとの作品を作る作業時間が大好き。最後まで付き合ってくれるすてきなパートナー」と笑顔を見せる。

 内容量は90グラム。

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