城西国際大学千葉東金キャンパス(東金市求名)で11月8日、大学祭「JIU Festival」が開かれ、看護学部看護学科の山村美恵子准教授のゼミ生がJIU看護学会内で「城西国際大学避難所での他学部連携による高齢者支援活動の実装モデル」を発表した。
同研究には、学部連携として看護学部山村准教授のほか、薬学部から酒井健介教授、吉久保匡甫助教が参画した。
発表では、看護学部と薬学部の教員と学生が学部の枠を越えて連携し、避難所運営における高齢者支援の実装モデルを構築する取り組みを紹介。看護学部2年の大湊あかりさんは「災害が嫌いで自分の命を守りたいと思っていたが、看護として自分たちで守れることは何だろうと考え、このゼミを選んだ。自分の命だけではなく、みんなを守ることも大切だと理解したかった」と研究動機を述べた。
展示では、東金市消防防災課から借用した避難所用備蓄品を紹介。従来の乾パンから、高齢者でも食べやすいおにぎりや白かゆ、ようかんなどに備蓄内容が変化していることを説明。山村准教授は「ようかんは糖分が高く、エネルギーに変わりやすいため腹持ちもする。高齢者の方にはこういったものがホッとするということで5年保存のものを用意している」と話す。
避難所運営における課題として、トイレ問題や床ずれの深刻さを指摘。山村准教授によると、能登半島地震の調査で「トイレが一番の問題で、皆さん我慢する。水も飲まない。それが災害関連死につながる」という実態が明らかになった。
学部連携の意義について、山村准教授は「看護学生は血圧測定ができ、不安を抱える避難者に安心を提供できる。薬学生は手指消毒やドアノブの消毒など感染予防の視点を持っている。全体を統括する視点を持つことが学生の力として大きい」と説明。
能登半島地震の被災地でのインタビュー調査についても報告。山村准教授は「復興が進んでおらず、取材の申し込みが難しかった。何度もメールや電話を重ね、思いが伝わってようやく受けてくださるところが出た」と振り返る。
発表を聴講した東金市在住の川口啓二さんは「災害が起きた時に機能できるよう、シミュレーションを何回やってもいい。研究を避難訓練に生かすなど、大学と一緒に連携してくれるのは非常に頼もしい」と評価。「住民自体に高齢者が多い中、学生は体が動くし考え方も柔軟。災害に強い提案をしてもらえると非常に有意義」と期待を寄せた。
大湊さんは「学生でも受けられる防災士の資格取得を考えている。看護師として働きながら突然起こる災害に対して行動できる力、人を守れる力が欲しい」と今後の目標を話した。
同大千葉東金キャンパスは東金市の指定避難所にもなっている。