千葉県北東部の文化発展を目指す「奥千葉プロジェクト」(匝瑳市八日市場)が主催する音楽祭「OKUCHIBA Fes. Vol.9 OTO TO OTO ~ジャンルを超えて~」が10月25日、多古町コミュニティプラザ(多古町多古)文化ホールで開かれた。
同音楽祭は、千葉県北東部で行われている音楽祭の第9回。今回は多古町を舞台に、世界トップレベルの演奏技術を持つ若手演奏家たちが、ジャンルを超えて共演した。
出演したのは2組のデュオ。1組目は、東京芸術大学の同級生である安藤巴さん(パーカッション)と楠瀬亮さん(サックス)。安藤さんは打楽器専攻、楠瀬さんはクラシックサックスを学んだ。
演奏は自由な雰囲気の中で進行。曲の途中でトークを挟むなど、従来のコンサート形式にとらわれない演出が特徴。演奏中、安藤さんが途中退席する場面もあったが、これは演出ではなく本当にトイレに行っていたという。楠瀬さんがカバーし、安藤さんが自然に演奏に戻る様子に、2人の普段の自然体な関係性が表れていた。
鋸南町での生活について、安藤さんと楠瀬さんは「おのおののタイミングで自分の曲をやったり、参加したり参加しなかったり」と説明。家の中でも演奏することが多く、生活と音楽が一体化した日常を送っているという。
2組目は、依知川伸一さん(ベース)と清水陽介さん(チェロ)のデュオ。依知川さんは千葉県横芝光町出身のベーシストで「BARAKA」のメンバー。奥千葉プロジェクト代表も務める。清水さんは2002(平成14)年生まれの若手チェリスト。
清水さんは「世界においても、ベースとチェロの編成はあまり聞いたことがない。日本が初めてなのでは。このすてきな会場で、依知川さんと、お客さまと一緒に音の交流ができたら」と話す。2人の本番としての共演は、昨年の酒々井町、今年10月13日の横芝光町に続いて3回目。
一宮町から来場した小学3年の女児は「チェロの音を生で初めて聴いた。とてもきれいな音色が聞けたので、チェロに興味が湧いた」と話していた。
 演奏終了後は一度舞台を後にしたが、来場者からの大きな歓声とアンコールを受け、再び舞台へ上がり最後の演奏を奏でた。