旭の地域交流スペース「Mado-kaちば醤油(しょうゆ)アート広場」(旭市ロ)で10月25日、「あさひの芸術祭2025」のオープニングイベント「あさひ百鬼夜行」が開かれた。
今年で3回目を迎える同祭は、市内19カ所の会場で44組のアーティストが参加する市民発のアートプロジェクト。
当日は、広場にキッチンカーや飲食販売、小物・多肉植物の販売、動物ふれあい体験の出店が並んだ。ステージでは歌唱、ライブペイント、琉球太鼓などのパフォーマンスが繰り広げられた。
ライブペイントでは、参加アーティストのすずきらなさん、具緒(ぐっちょ)さんが「百鬼夜行」をテーマにしたイラストを制作。来場者のリクエストを受けながら、さまざまな妖怪が集合する作品が完成した。すずきらなさんは「大きな絵を描いて、みんなと同じものを見てシェアしたい。黒板やチョークなど身近な素材でアートのハードルを下げて、みんなで楽しめることとして広めたい」と話す。完成作品はMado-kaで見ることができる。
主催者のモンゴルマンさんは元プロレスラーで、特別支援学校指導員という異色の経歴を持つ。柔術アジア大会金メダリストでもあるモンゴルマンさんは42歳で武蔵野美術大学通信制に入学。7年かけて美術教師の資格を取得した。2018(平成30)年に新潟県の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を訪れた経験が芸術祭誕生のきっかけとなり、2022年に実行委員会を設立。2023年春に第1回を開催した。
今回の注目は、旭緑地公園(香取航空基地跡)の展示。戦時中に使われ、現在も市内に1基存在する掩体壕(えんたいごう=航空機を敵襲から守るためのコンクリート製格納庫)を模したパネルに、藤沢市の作家・山内若菜さんによる12メートルの絵画を展示する。
11月9日の13時~と14時~は、山内若菜さんのトークショーを旭緑地公園で開催。モンゴルマンさんは「旭にも海軍の基地があって、特攻隊が飛び立ったという現実がある。特攻隊というと鹿児島の知覧などを思い浮かべるが、実は身近にもいた。それを知ってもらいたい」と話す。
モンゴルマンさんは「2030年までに市民発の芸術祭として完成形を示したい。予算をかけず、みんなで協力すれば、こういうことができるという手本になりたい」と力を込める。
開催時間は会場により異なる。入場無料。11月9日まで。