
一宮町のアーティスト・鹿野良孝さんが般若面を題材にした彫金作品を制作し、9月12日に完成した。
鹿野さんは幼少期から絵を描くことが好きで、その思いのまま芸術系の専門学校に進学。芸術表現を学び、卒業後も就職しながら制作活動を続け、国内の展覧会のほか、海外での発表も経験。作品は装飾性と造形力を兼ね備え、絵画だけにとどまらず、金属素材の可能性を広げる挑戦を重ねてきた。
今回の出品作は、能楽で用いられる般若面にヒョウ柄をあしらった造形が特徴。「伝統芸能の造形美を尊重しながら、自分が現代に生きている感覚をどう重ねられるかに挑戦した」と話す。
作品タイトルの「JAPUNK(ジャパンク)」には、日本文化を土台にしつつ、既存の枠に収まらない新しい表現を示したいという思いを込めた。古典と現代を交差させる表現は、長年積み重ねてきた経験や視点を反映している。
日常では父親として、子どもの創作活動を大切にしている。絵や粘土に興味を示せば自由に取り組ませ、完成した作品は「すごいね」と認めたうえで、「気に入った点」「難しかった点」「作品名」を必ず尋ねるという。「同じ道を歩んでほしいとは思わない。自由に楽しんでくれたらいい」と笑顔を見せる。
今後については、「作家としては、このまま作品を作り続けていく」としながらも、私生活ではDJや趣味の車・バイクを楽しみ、子どもの成長を見守りながら健康であることを大事にしているという。「自分は作家として表現を続け、その姿を見せていきたい」と力を込める。
同作は11月1日から東京都美術館(東京都台東区)で開催される「第42回日本アートメダル展」に出品することが決まっている。