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多古町で介護現場に生きる演劇ワークショップ 笑いと涙で「老い」を考える

ワークショップを開いたOiBokkeShi主宰の菅原さん

ワークショップを開いたOiBokkeShi主宰の菅原さん

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 多古町のひかり学園(多古町北中)で8月28日、「老いと演劇」ワークショップが開かれた。

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 主催はひかり学園を運営する社会福祉法人「槇の実会」。講師は「OiBokkeShi(オイ・ボッケ・シ)」主宰の菅原直樹さん。演劇と介護を結びつけた活動に取り組む。当日は、介護、福祉、看護の関係者を中心に33人の参加者が集まった。

 ワークショップは「老い」「ぼけ」「死」という避けて通れないテーマを、演劇を通じて体験的に学ぶもの。介護現場では、利用者が語る現実離れした世界にどう対応するかが職員の課題となることも多い。

 菅原さんは「利用者が見ている世界を否定せず、むしろその世界に寄り添う」という発想を提示。参加者は即興で役になりきることで、受け入れることから生まれる安心感や信頼関係を体験した。

 当日は開会宣言から和やかな雰囲気でスタート。全員で輪になって行う「遊びリテーション」では「できない」ことを笑い合い、ネガティブな感覚を前向きに捉える体験を共有した。その後、シアターゲームやロールプレーイングを行い、参加者は遊びながら介護に通じるコミュニケーションを学んでいった。

 参加した介護従事者は「認知症介護と演劇は『今を楽しむ』という点が同じ。その瞬間を楽しむことが大事だと改めて感じた」「菅原先生の『年を取るとできないことが増えていくけど、それは人間として成長していることなんだ』という言葉が印象に残った」という。

 終盤には涙ぐむ参加者の姿も見られ、介護や福祉に携わる人々にとって日常の延長線にある課題を、演劇を通じて改めて考える時間となった。

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